めぐりあう世界～Universal Contact

ゲーテの詩集をこよなく愛し、管制塔内の居住者として育った少年は、やがて寂しがり屋で夢見がちで雨の音が大好きな…「管理上不適合」な…大人になり、

今は…この窓辺に。
夕方近く、いつものように響き渡った旅立ちの轟音は…

今日はまるで母の子守歌…本日のカプセル内の少年とは
面識もなく遂に一度も会話をせずにこの日を迎えた事を突如として思い出し、
数分前から胸が張り裂けそうだった。恒例ながら、フィジカルではもはや追いつけない、干渉も通信も出来ない、事実上の空間的な死を意味する。

（…あの傾きかけた塔の面々は解っているのか？）広大なSPACE全体を網羅する光速インターネットやソーシャルメディアがあったとしても、その一報が伝えられ、共有されるのは、…root　N＞那由多、不可思議、無量大数…分の括弧Lamentable ATMARK　Vector　β　之即…050イコール＜　ARMEN終始

そんな少年との果てしない距離を考えた時、

一体どんな扉を開け、いかなる窓辺を選択し、何度生まれ変われば彼に再び…アイセイハローThis SUN……root　N＞那由多、不可思議、無量大数…分の括弧Lamentable？イコール…嗚呼 呼べるぅう！？またもや青年は発病し、



広大なコンソール卓の床に崩れ落ちた。やはり今日も仕事にはならなかった。そもそも自分は正常ではないのか…

理解されている様には感じないが…背後にある真実がどのようなものであれ、そもそも戦い続けるべきなのか…
パスワードは存在しない？            願いはひとつだけ…

やや支離滅裂な瞑想の最後に要諦を示唆し
、刹那、エンカウント寸前の摩天楼、形而上の音楽室に覆いかぶさるようにいつの間にかそれは舞い降りた

姿形さえ今も分からない

青年の母が人知れず歌っていたとだけ何時も聞かされていた「あの子守歌」…

果たして彼にはインストールされているだろうか？

前にもまして、胸を撃ち抜かれる様な虚ろな慟哭に襲われ朦朧としたが…マイクスタンドを抱え込みながら…コックピットに這い上がり、今一度、満を持しての「最高出力」で
薄く開け始めた晴天の空の彼方に向けて送信してみた。　 独りぼっちの雨に運ばれて離れ離れの胸に眠らせて

この詩があれば
…一応…
きっと…大丈夫…！

    いつかお   
                     帰り…また逢おう！…

                                                                                                                                               

先程より何故か少しだけ空が滲みぼんやりと薄く輝き始めた気がした。

;　Romanticな
雨に囲まれて

 共に光った星に　結ばれて


 

universal contact

子守唄は昔

薄い青空の下で

木漏れ日を宇宙の果てに運ぶような命の詩

合言葉を忘れたの…体の位相はそのままで

撃ち抜けば

あなたのもとへ

灯るでしょうか？ 優しく

我に帰る空ろに　母を探す闇の手触り

同士の指を辿れば行き着くかにみえた世界を紡ぎだす

願いはひとつだけ　見つめ合う世界で...

独りぼっちの雨に運ばれて　

離れ離れの胸に眠らせて

瓦礫に埋もれた虫は　歌の限り託して彷徨う

紺碧の夜空も見えず届くでしょうか？あなたに

彼方滲む姿に　闇の中で愛の手触り

同士が架ける幻の輪にめぐりあう世界はそこにある！

願いはひとつだけ　めぐりあう世界で

ロマンティックな雨に囲まれて　共に光った星に結ばれて

 

 

投稿 by 黒澤 大介.

嘆かわし惑星 [MP3 ダウンロード]
出版: ブラックディー
(2012-10-07)

1.Lamentable Voyage

2.Witch The Tonight

3.Amore Oltre la Torre Pendente

4.Meluri

5.Stardust　Bevel

6.Untitled　Work

7.Savon ètranger

8.Universal　Contact

9.You'll Sing My Aria

10.Good-by　My　Express