Requiemβ ≒ 形而上フロアLevel β

彼らに名前はない。


その現象に名前は付けられてはいない。

絶えず下だけを向いて動いているモノ、

 
もしくは可能な限り 下を意識する者にだけ、
観測する機会は訪れるかも知れない

ただし、

客観的に見てはなりません。

むしろパラノイアックなまでに偏執的で、エゴイスティックなまでに恣意的な
視点を持ち合わせていなければ、その認識を理解に変えることは困難で在りましょう
 

なぜなら、それらを

丁寧に説明したことで、さらに共感的なレスポンスを得にくくなるばかりか、
場合によっては怪異や狂気と認定される事例が多いためです。



 

その項目を己自身のメリットデメリットや、

まして、痛みや悲しみ等とリンクさせ、美しい涙を流している光景を目にする事はこの時点で起こりうるでしょうか？      
      


幸い、形而上駐車の

最中であった彼は、
突如このような考えに苛まれ、

現在のアスファルト上の処刑にも似た一連のシーンに、従来の人間性や

投影可能な意味をメタフィジカルに導入する、

画期的な「プロジェクト」

をスタートさせる。

    


そして、

今の彼以上に匿名性の高い彼らの存在に対して、

極めて実験的で公共性の低い旋律を捧げる決定を下したのだった。　





  

Requiemβ

小さな手のひらの それを見つめていた
誰一人止まらず それは砕け散った
赦されない扉の中 宴が続くのなら
アスファルトを覆い始める 処刑する音が聞こえる

雨はひっそり 街をぐっしょり
いつまでも 落ち葉が濡れている
ただ君が置かれている


小さな手のひらでそれは動いていた
無邪気な勝利が体を傷つけた
愛の消えた亡霊の性 カルテが神を告げて
全ての空がのしかかる レクイエムが鳴り響く


雨はひっそり 街をぐっしょり
いつの間にか涙が枯れている ただ君が化石になる
雨はひっそり 街をぐっしょり
いつまでも落ち葉が濡れている ただ君が置かれている